”宅配基本料”について

平成30年6月
 東部飲料では、月額324円の宅配基本料を頂き始めました。以下の長文は、開始にあたり、お客様にご案内したお知らせを原文そのまま記載したものです。私たち牛乳販売店がどのように考えているか、そう見て頂いた上で、ご理解下さりますと幸いです。
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お客様へ
 平素よりご愛飲頂き、まことにありがとうございます。東部飲料株式会社 代表取締役 白井健人でございます。この6月で我が社は54年を数えることとなります。これまでの長い間、この小さな牛乳屋とお付き合い頂き感謝の言葉以外にございません。
 さて、先日当社発行の情報誌にて本当に簡単なご案内をしておりましたが、この度平成30年6月度より料金体系の変更を致します事をお知らせします。

 まず、新体系についてご説明した後、そうするにあたった経緯をお話しさせて頂きます。是非とも、最後までご覧頂き、ご不明な点があればお問い合わせの上、皆様にご納得頂ければと思います。


現在は、商品代金として皆様より月々の代金を頂いております。
6月配達分より、今までの商品代金に加えて、宅配料金として月額324円(税込)をご請求させて頂きたく存じます。

これまで
商品代金×配達本数=請求金額

6月分より
商品代金×配達本数+宅配料金(¥324税込)=請求金額
となります。

「配達の回数」ではなく、月額で全てのお客様、定額にて提示させていただきました。色々と疑問や分からない点があろうかと思いますので、その場合は、まず当店にお問い合わせ頂ければと思います。文章化した事により全てが皆様にお伝え出来ているとは確信出来ません。是非ご意見をお持ちの方は白井までお問い合わせ下さいますよう、お願い申し上げます。


   私が、この家業である牛乳屋に関わって4年が経ちました。当初から変わらず思ってきたのは、どのお客様に対しても、同じように心を込めて配達する事でした。(宅配品質の均一化)

”牛乳屋のサービス”とはなんだろう?

サラリーマンを辞め、自営業の道に進み、それまでと異なり圧倒的に多くの人々と出会い、牛乳屋の商売の本質、未来について考えるようになりました。 そもそも僕らが扱っている商品は、「メーカーさんから仕入れてる(目に見える)商品」だけなんだろうか?と。牛乳屋さんとして当たり前の事は、商品じゃないのだろうか?

・定期的に、保冷された状態で、玄関先まで届く
・1回の配達で小瓶1本でも届く
・前日、当日のキャンセルでも承る
・お客様の冷蔵庫の状況に応じて、週4回でも5回でも配る
・口座引き落としをお客様の希望の各種機関に対応
・引き落とし手数料負担
・お支払い方法はお客様に応じて対応
・別の販売店の未回収サンプル等もお引き受け
上記はサービスという立派な商品ではないでしょうか?
もちろん私どもは当たり前と考えていますし、他の販売店が当たり前だとしても、それは立派なサービスに違いありません。


牛乳販売店には、2種類の値上げがあります。
①メーカー等の値上げに乗じて値上げです。
数年に一度、メーカーから商品の卸価格の改定が行われます。商品ごとに値上げ価格は異なり、単品のリニューアル時にも価格の改定が行われることがあります。この際、メーカーの値上げという理由に乗じて、販売価格の改定を行う場合があります。この時、あるAという商品がメーカから3円の値上げがきた際、販売価格を3円あげる事もあれば5円あげる事もあるという事です。これは、商品毎に値上げ幅が異なるので、お客様がご愛飲されている商品によって値上げの幅が異なります。(全体一律はほぼ有り得ない)

②新規のお客様に対して(カタログ価格の変更)の値上げです。
新たに、お客様にご案内する際のカタログ価格は、時期によって異なります。つまりご契約の時期によって商品価格が異なるわけです。(宅配歴の差によって価格の幅が発生している)


つまり、様々なコスト面の上昇に対応するのは、ほとんどの場合が新規獲得の価格帯のみなのです。では、宅配コスト(主に人件費)はどうやってあげるべきでしょうか?配達員が高齢による入れ替えの為の募集をかけて、他業種の賃金に劣る(正確に言えば、改定できない)現状をどう打破すべきでしょうか?
 
 第三の「販売店自らの判断による値上げ」以外に他ないのです。最初に申し上げた宅配品質の均一化についてですが、様々な理由(例:ご高齢のため、多くは飲めない等)により、現状、月に多く商品を取ってくださるお客様から頂く利益の中から、サービスとして全体へ還元しています。牛乳屋歴の浅い僕は、正直初めからこの状態に納得がいきませんでした。

 これは、本数が少ないお客様が悪いのではなく、どんなお客様にでも、おひとりおひとりから頂いた利益の中で、サービスを行なえるような仕組みを作っていない当店・業界の怠慢なのです。お客様は、どんな形であれ大切な存在です。しかし、値上げによる反発を恐れるあまり、大きな矛盾を作ってしまい、
今日に至っているのです。そして、商品そのものを値上げしたとして、その負担は、当然ですが本数の差によって異なります。これでは私が抱えていた疑問、当店が抱える問題点の解決にはなっていません。

 こうして、「商品とサービス」「牛乳屋全体が抱える体質の問題」にメスを入れるべく、全国でも数例しか存在しない、宅配料をいただく事を決定したのです。この考えは、私がこの業界に入った頃からいつか向き合わなければいけない問題であると認識していました。この月額324円の宅配料について、決定に至るまでも多くの方のご意見を伺いました。

 もちろん、ただ値上げするだけでは一方的なだけです。この宅配料の設定を機に、これから常にお客様に対して、あらゆるサービスについて一つ一つ提示し、厳格に守って参ります。。これは、お客様に対してこれまで以上の忠誠を誓う覚悟の現れなのです。
 私は、お客様に対して、正当な理由であればモノ言える販売店でありたいと思っております。そしてお客様からご遠慮なくご意見いただける販売店になりたいと願っております。
 
 誤解のないよう知っておいて頂きたいのは、当店のそもそもの商品価格は近隣販売店と比べても間違いなく安いです。広島市内や都市部と比べても。比べる事は簡単ではありませんが、当店が不当に価格を設定しているという訳ではございません。御理解いただけない点もあるかもしれません。一つ言える事は、これまで述べた事すべて正直に思っているという事であります。

 私の頭に常にあるのは、いつまでもこの牛乳屋という仕事を残すために、いまの時代にあうのは、どういった形なのか。そればかりです。

 私の力の至らぬせいで、どういった形であれ、皆様に「値上げ」というご負担を敷いてしまう事は、誠に申し訳ないと心より思っております。
これからも皆様と共にある事を願いながら、何卒ご理解下さります事をお願い申し上げます。

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